電気・通信・情報
給排水・空調・衛生


分離発注に対する異論?  ところで、分離発注に対して、建築工事はいろいろな業種が入り交じって進めていくものだから、それを調整するコーディネーターが必要となる。そしてその役割を果たすのは建築業者であり、当然、総合発注にすべきであるという異論があります。
 確かに建築工事全体について調整するためのコーディネーターは必要です。
 しかし、それが必ずしも建築業者でなければ駄目だということにはならないのです。現に官公庁や大手不動産会社のように管理部門を持っている建築主は分離発注した上で、自らコーディネーターの役割を果たしています。また建築業者がコーディネーターになる場合でも、必ずしも総合発注にしなければならない理由はどこにもありません。
 分離発注のもとにおいて、建築業者がコーディネーターの役割を果たしても一向に差し支えないのです。ちなみにアメリカでは、建築業者と設備業者がチームを組んで、そのチームがコーディネートする方法が多く取られています。

 分離発注のメリットも、総合発注の欠点も良くわかったが、自分のところには分離発注をするために必要なスタッフがいない、とおっしゃる建築主の皆さんもいらっしゃるかと思います。このような場合には、設計事務所にその役割を委任することをお勧めします。設計事務所は、中立の立場で建築主の利益を考え、建築と設備の両面について、公平な監理並びに調整の役割を果たしてくれるからです。
 しかし、設計事務所にコーディネートを頼めば、それだけ余分な費用がかかるのではないかと心配されるかも知れません。ところが、総合発注にしたからといって、その費用は表向きはともかく、実際には建築業者の請負金額の中に含まれているのです。そのうえ建築業者が設備業者から得るマージンや、工事の質的な面まで考え合わせると、設計事務所に依頼することによって、結果的に得るところは多大であるというものです。
設計事務所の活用

コ ス ト ・ オ ン 方 式

前述のように分離発注のメリットについて説明してきましたが、民間発注の場合いろいろな事情からどうしても建築業者に総合発注しなければならない場合もあるかと思われます。しかし、そのような場合でも、できるだけ総合発注の不合理性を少なくする方法があります。それがいわゆる“コスト・オン方式”といわれるものです。

コスト・オン方式は次のような手順で一括発注する方式です。
 @ 工事全体を建築工事と設備工事とに分ける。
 A 建築主が、それぞれの工事に適した建築業者と設備業者とを分けて選定する。
 B 設計に従ってそれぞれ見積もり、または入札を行い、それぞれについての工事金額を決定する。
 C 設備工事費に、設備工事の「総括業務費」と「共益費」を上乗せ(オン)した金額で建築業者に総合発注
    をする。

 言ってみれば、建築・設備の各工事別にガラス張りの契約をしたうえで、工事全体の総括管理を建築業者に一任するというやり方です。従ってこの方法は、面倒のない一括発注でありながら、発注者と設備業者が直結し、安全で良質の設備工事が得られるという分離発注の長所が得られますが、建築業者の中には工事別の契約を個々にされるのが反対の業者もいます。それは、設備業者を飛び越えて中間マージンを取りたいからです。建築業者には注意しなければなりません。
  コスト・オン方式の契約は、発注者・建築業者・設備業者の3者間でコスト・オンのための協定を締結し、建築業者との間で総合請負契約を結ぶこれらの手続きについては、経験豊富な設計事務所が全て代行または手助けをしてくれますから、安心してお任せすることをお勧めいたします。


次 代 は C M 方 式 へ
 設備工事の分離発注についてのメリットなど、ご理解いただけたでしょうか?
私たち設備業界は、
グッド・コミュニケーション
ハイ・クオリティ
コスト・ダウン
親切でスピーディなアフターフォローを合言葉に、
快適な住まい・ビル建設を応援します。
CM方式とは〜
 アメリカやヨーロッパで普及定着している建設生産システムのことで、建設業者や建築家が発注者の立場に立って設計や施工の管理を行うなど、総合的な建設管理を行うことです。アメリカでは建設プロジェクトの約40%がCM方式で発注されています。各工事の費用の内訳が明確になり、透明性が確保できることが特徴です。

  総合発注の弊害を除くために、こうした新しい方式がいろいろ考えられているのです。

  私たちの願いは、安全で質の良い設備工事を施工することにあります。
  このために私たちは合理的な分離発注方式により発注されることをお勧めします。

←戻る
一般社団法人 静岡県設備協会